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整形外科領域の超音波検査

けが

超音波検査(エコー検査)というと腹部超音波を連想されるかも知れませんが、整形外科領域でも超音波検査は有用です。

MRIと違い、外来で手軽にできること、コストが安いことなどのメリットがあります。

五十肩か腱板炎か?
 

「肩が動かなくて、五十肩と思う」と受診される方が非常に多いのですが、五十肩であることはむしろ稀で、腱板炎であることが殆どです。
症状としては、肩を前から上げることはできるが、横から上げると痛い、腰や背中に手が回らない、ブラジャーのホックに手が届かない、服の脱着が難しいなどです

腱板とは図の赤いところで、腱板が収縮すると(→印)、上腕骨が引っ張られて肩が上がります(↑印)。
この時、正常では腱板は肩峰(けんぽう)の下をスムーズにくぐります。

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しかし、肩を打撲したり使い過ぎると、腱板に炎症が起きて、腱板が腫れます(下図の赤みが強いところ)。この状態で肩を上げると、炎症で腫れた部分が肩峰(けんぽう)下面とこすれ、痛くて肩が上げられなくなります。この状態を腱板炎によるインピンジメント症候群(ひっかかり症候群)といいます。
この状態を放置すると、腱板と肩峰部分で癒着が起こり、益々肩が上がらなくなり、本当の五十肩になってしまいます。

 

スクリーンショット 2024-10-28 15.32.53.png

場合によっては、下図のように腱板が断裂することがあります。若い人の場合は打撲などの外傷によることが多いですが、高齢者は知らないうちに切れていることもあります。

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さて、腱板炎の治療ですが、最も有効なのは炎症を抑える薬(ステロイド+麻酔薬)を腱板表面に浸潤させることです。

腱板はレントゲン写真に写らないので、超音波検査(エコー検査)で観察します(下図)。
写真は当院を受診された50代男性の左肩の超音波所見です。左肩を上げるときに痛みがあります。腱板はこのように三日月状に見えるのが普通で、この方は腱板断裂はありません。

炎症自体は超音波では見えませんが、臨床症状から腱板表面に炎症があると推測されます。

IMG_5089.jpeg

超音波を見ながら、針先を腱板表面に誘導し、腱板表面に薬を浸潤させると、下図のように腱板表面に液体が広がっていくのが観察できます。
麻酔薬が入っているので、そんなに痛くはないです(針を刺すときはチクっとします)。

腱板.jpeg

ステロイドが効き始めるのに4-5日かかるので、その間だけロキソニンなどの消炎鎮痛剤を出します。
注射後2週間で効果がピークに達するので、2週間後に受診していただくと、軽症の場合は一度の注射で治っていることが多いです。何回注射をしても治らない難治性の場合は、MRIで精査し、場合によっては手術になることもありますが、そいいう例は稀です。

 

糖尿病で血糖値が高い人はステロイドで高血糖になることがあり危険ですから、空腹時血糖が150mg/dl以上の方は、ステロイドでなくヒアルロン酸を注射することが多いです。

もしこの文書を読まれて、腱板炎の症状かもと思われた方は、早めに受診した方が後が楽です。

 

ちなみに、私も5年前に腱板炎になったことがあり、自分で鏡を見ながら腱板に注射したことがあります。ブラックジャックは鏡を見ながら、自分で自分の虫垂炎を手術していましたね(まあ、漫画ですから)。

2024ワールドシリーズ、ドジャース対ヤンキース戦で大谷翔平が盗塁時に肩を痛めましたが、報道されているような亜脱臼だけでなく、腱板断裂や軟骨損傷があると厄介だなと思います。

もう盗塁はやめた方がいいですね。

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